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2016年5月14日 (土)

メリーバッドエンドな物語

なんかまだ休みボケが治らない。職場の上司が「休日になると体調を崩す」と言っていた意味がわかった気がする。日ごろ懸命に働いていると、いきなり休みになってホッとした途端に体調を崩す。

まぁ、たぶん2年ぶりに週休2日制になったからというのもあるでしょう。まだ身体が休み慣れていないと言いますか、じっとしていると不安になって何かやることを探そうとする。

(ちなみにこれまで週休1日だった。どんだけワーカホリックなんだ)





そんなんでGW後半に変な体調の崩し方(明らかに精神的なもの)をして、その余韻がまだ残っている。社会人3年目にしてとうとう5月病か。久々に映画でも見ようとDVDを借りてきたものの、1本はまだいいが、もう1本は失敗だった。金返せ!



楽しめたのは『インサイドヘッド』。頭の中の5つの感情(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカ)が主人公で、自分だったらどうだろうと考えると面白かった。たぶん基本ネガティブ志向の私の脳内はカナシミがリーダー格。それでも底なし沼のようにズブズブ落ち込んでしまわないのは、他の感情たちがうまくセーブしてくれているからかも。


面白くなかったのは実写版『シンデレラ』。これでもかと思うほど面白くなかった。まず日本語吹き替え版の主演の声がイマイチだし、何をどうやったらこんなになるんだと思うほどヘタクソだった。だから吹き替えはプロの声優さんにやらせろっつーの!

もともと「シンデレラ」の童話が好きじゃないんだよね。ああいう外見と心の美しい乙女がハッピーエンドを迎えるストーリー、マジで反吐が出そうになる。見終わったあとおもわず鼻で笑ってしもた。「見なきゃよかった映画ベスト5」(あくまで個人的な感想)に入れてもいいかもしれない。





私は昔からメリーバッドエンドな結末が好き。

メリーバッドエンドとは、読み手によって見方が変わる物語の結末。ある人にとってはバッドエンドだが、別のある人にとってはハッピーエンドというような。

有名な例を挙げると『フランダースの犬』。ネロとパトラッシュが死んで終わる結末はある意味で不幸だが、本人たちにとっては最期にルーベンスの絵も見られたし、天使に連れられておじいさんとお母さんがいる天国にも行けたし、ハッピーエンド(と言えなくもない)。



童話で言えば『マッチ売りの少女』『幸福な王子』あたりがそれに当てはまるのではないかと思う。

私はいつも感動的に思う。マッチ売りの少女が貧しさのあまり非行に走り、マッチで他人の家に放火して補導されなかったことを。私ならたぶん空想に浸るどころか他人の幸せを羨んで家に火をつけているでしょう。貧困にあえぐ労働者は誰からも見向きされず、手を差し伸べてももらえず、せめて最期ぐらいは幸せな心地で天国に行くしかない。…まるでそういうことを言われているようで、この童話は心のひっかき傷のように残っている。

『幸福な王子』はねぇ…。いくら他人のためにその身を削って奉仕しようとも、最後は裏切られて感謝もされずに死んでいく。自己犠牲なんて馬鹿馬鹿しい。そういうことを言っているようでちょっとスッキリする。また、人知れず他人のために尽くすことの難しさ…も伝えているといっていいだろう。凡人はどうしたって見返りを求めちゃうもんねぇ。自分を犠牲にしてまで他人に尽くす王子とツバメはまさに聖である。




映画『シンデレラ』で唯一よかった点といえば、意地悪な継母の事情がちょっとだけ取り上げられていたことだろうか。最初の夫を亡くして未亡人となり、二人の娘を抱えてシンデレラの父と再婚したものの、夫は美しい実の娘ばかり可愛がり、挙句の果てには旅先で死んでしまった。継母と2人の連れ子が豪遊したからでもあろうが、多額の借金を抱えての生活は大変だっただろう。

おそらく、継母は最初から意地悪だったわけではない。だが、自分の連れ子より美しく、夫に愛される娘を見たとき、この継母はどのような心持ちになっただろうか。ああ、想像するだけで涙が出る。映画の主人公であるシンデレラにとってはハッピーエンドだっただろうが、継母とその2人の娘にとっては辛すぎるバッドエンドだったに違いない。



誰も最初から悪者になんかならない。そうなるに至った理由が必ずどこかにあるはずなのだ。RPG系のラスボスにすら同情する私だからそう思うのかもしれないが、物語を語る以上、ちゃんと悪者側の事情についても言及してほしいと思うのである。そもそも主人公にとってハッピーエンドということは、どこかの悪役にとってはバッドエンドでしかない。主人公を名乗るならそこんところをよくわかっておけ!とたまに説教したくなってしまう。(大丈夫だろうか…)




童話に限らず、容姿端麗だから必ずしも幸せになれるわけじゃない。心が醜いから不幸なわけじゃない。結局のところ周りの力添えとレッテル張りが原因だと私は思っている。純真無垢で美しいシンデレラも、(映画では)継母の心に闇を抱かせ、妖精や王子たちとグルになって娘2人ともども国外に追いやっているのである。継母たちにとってはシンデレラこそ真の悪役だったでしょうなぁ。

それに、確かシンデレラは三番目の継母と共謀して二番目の継母を殺害しているはず。原典に近い昔の時代の物語だが、プリンセスといえども幸福を求める執着心はえげつないということではないだろうか。最後は実在するのかも疑わしい妖精と共謀し、意地悪な義理の姉2人のつま先とかかとを切り落とさせた挙句、鳥に目をくり抜かせたりするわけである。さんざん意地悪をされたとはいえ、そこまでするか普通?



それなら『幸福な王子』ぐらいさっぱりしていた方が私は好きだ。自己犠牲の果てに裏切られ、それでも唯一の理解者であった神様の手でツバメと一緒に天に召される。彼らは誰も不幸にしていない。むしろ自分からすすんで不幸になったようなものである。


あ~、ヤダヤダ、やっぱりただのハッピーエンドは嫌だ。私の目にはシンデレラさえも悪役に映る。性格がひねくれていると言われたらそれまでだが…。

シンデレラに『幸福な王子』ぐらいの気兼ねがあればなぁ。継母と姉2人のために懸命にドレスを作り、満面の笑みで舞踏会に送り出す。自分だけ抜け駆けしようなどという心根はまるでない。そしていつか幸せになれると信じながら歳を取り、最後の最後に没落貴族となった王子と結ばれる…とか。私が『シンデレラ』を記すならそういう物語にするでしょう。





要するに誰も不幸にならない物語なんかあり得ないのである。誰かの幸せの陰で別の誰かが不幸になる。ああ…そう思うと悲しくてたまらない。私の脳内のカナシミがものすごい勢いで活動している気がする。

万年貧困生活の私も、たぶん誰かの幸せのためにあくせく働かされているんだろうな。私は誰かさんのような容姿端麗でもなし、妖精と結託して他人を出し抜くような度胸もありません。どっかの高貴な人と結ばれたいとかこれっぽっちも思っとらん。別にいいわよ、私の働きでちょっとでも幸せになる人がいるなら…。ブツブツ。






たまにはこうして童話の世界に浸るのもいい。しかし、メリーバッドエンドな結末の映画って滅多にないよねぇ。あったとしてもホラーかサイコ系か。気持ちが暗くなるだけで誰も面白がって見ないからかな。

だがな…。現実とは概してそういうものなんだよ…。


ホラーとサイコと多少のスリルに満ちている。最近私の目には現実がそう見えてきた。まだ童話の世界はましな方だよ。この世に生きている人間ほど怖いものはないってね。

継母より魔王より悪魔より怖いのが現実っていう化け物かな。



…はー。あー、笑えねェ…。

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コメント

こんにちは!

週休2日生活に、少しずつ慣れている感じでしょうか。

「メリーバッドエンド」という言葉、初めて耳にしました。
私自身は、漠然とした結末で、「あとは自由に想像してください」的な結末が好きです♪

学生生活には慣れてきました。
課題が多くて、研究室に泊まる人がかなりいます。
毎年オーバーワークで倒れる人が出るそうで、今年も出そうな雰囲気です(笑)

なんとか生き残りたいです。

本であれ映画であれ、心にひっかき傷をつけるような結末って記憶に残りますからねー。人によって想像する結末が違う作品も面白いですよね。

研究室に泊まる人がいらっしゃるんですか!? 大学院によって忙しさが違うんですかね。私も休日登校や夜中まで残ることはありましたが、泊まったことはなかったですね…。(そもそもそういう場所がなかったので)
そりゃ倒れる人も出てきそうです。どうか体調には気を付けて課題をこなしてください(+_+)

昔,新井素子さんって作家が、強力にハッピーエンドにするなら、
ハッピーエンドの後に石を降らせて世界を終わらせるって書いてあった事があったよ.
そうかぁ.現実の世界は、現実の他人かな.
怖いのか.
うーん,シンデレラか.幸せになって,終わって,
後はどうなるんだろうなー.

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ひとりごと

  • 今年初めてふるさと納税をした。どこかの特産品が欲しいとかは特になく、クラウドファンディングの企画があったのでそれにした。自分の生活を鑑みれば米か肉でも返礼品としてもらえばよかったのだろうが、それができないあたり管理人の変なプライドがある。微々たるものだが少しでも地球のためになればいいと思う。
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